Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史

吉田裕史:指揮者

東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。

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2004年12月29日 03:21

「鐘」 2

今回、この鐘を鋳造する際に、竹内さんは徹底的にヨーロッパの鐘について調べ上げたそうです。 その結果、歴史上最高の音色を持つ鐘がオランダにあることがわかりました。 そこで、その鐘のデータを入手し、形状、厚み、材質などを全てコンピューターに入力(デジタイジングというそうです)し、さらに調整を加えて、この鐘の誕生となりました。 自らも "Cアート作家" として数々の名作を生み出している竹内さんは、自分が生み出す全ての作品に対して妥協を許しません。 トスカで使用する鐘の数の、なんと約3倍もの個数を鋳造してくださいました。 もちろん、その中から最高の音を選び出すためにです。

トスカ上演に際して、竹内さんご夫妻(奥様は著名なヴァイオリニストです!)をご招待させていただきましたが、オペラの舞台美術の一部としても(つまり楽器としてだけではなく、舞台上セットとしても)鳴り響いたこれら鐘の音に大変喜んでくださいました。 
この鐘に興味をお持ちの方は、ぜひ hirofumi@to-on.com まで、ご連絡ください。 今後もこの鐘を貸してくださるそうです!

2004年12月24日 03:21

「鐘」

鐘"(イタリア語でCampanella)は、多くの作曲家が愛した楽器です。例えば、かの有名なピアノ協奏曲第2番の冒頭を、まるで遠くから"鐘"が響いてくるかのように作曲したラフマニノフは、そのひとりではないでしょうか。彼は全作品を通して、鐘をイメージしたモチーフを使用したので、ラフマニノフ="鐘"がテーマの作曲家と言っても過言ではないでしょう。また、フジコ・へミングが演奏することでより有名になった、リストの"カンパネッラ"という曲はタイトルがそのまま"鐘"という意味です。
さて、プッチーニも彼のオペラの中で頻繁に"鐘"を用いました。ストーリーの中に、「祈り」「賛美歌」「祝祭」といったキリスト教的な要素が出てくるときのみならず「時間を告げる」といった(ごく日常的に、当時の教会が担っていた役割だったことでしょう)シーンにおいても使われています。
今回トスカを上演するに当たって、「本物の"鐘"を使う」ということにこだわりました。プッチーニの指定した音程で、しかもノートルダム寺院の"鐘"を彷彿とさせる美しい音色の"鐘"・・・ 特別に鋳造してくださったのは、富山県高岡市にある (株)高岡鋳藝社 社長・Cアート作家・ムッシューこだわり派、竹内 修さんです! 次回は、この鐘鋳造に関する秘話をお届けします。(つづく)

(トスカ第一幕冒頭部分。 上がプッチーニのオリジナル・スコア、下が編曲後のスコア。 本来ならば、ホルン4本+トランペット3本+トロンボーン3本+チューバ1本の計11本で演奏されるこの部分が、なんとホルン2本+トランペット、トロンボーン各1本に集約されている。 それにもかかわらず、音楽的効果、迫力、音色等、その表現力はかなりのクオリティー!)

2004年12月16日 03:20

1.5管編成?

今回のトスカは、ホールの座席数とオーケストラピットのスペース(約700席)を考えて、オーケストラの編成を縮小し、1.5管編成(木管楽器を2管編成、金管楽器を1管編成で演奏すること。2+1÷2=1.5!)にて演奏しました。前回のパリアッチでは完全な1管編成で演奏しましたが、今回は基本的な1管編成(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、トランペット、トロンボーンが各一本ずつ、ホルンのみ2本)に、木管楽器のみをもう1本ずつ追加し、それぞれの2番奏者が楽器を持ち替える(かなり頻繁に!)ことによって、ピッコロ、イングリッシュホルン、バス・クラリネットという、プッチーニ独特のオーケストレーション(楽器法)を再現しました。これにより、全てのフレーズ(場面)にわたって効果的に用いられている各楽器の音色を再現することができましたし、より色彩感を表現することが可能となりました。結果として、小中規模のホールなどで演奏する際に、とても有効なアイデアであることを確信しました。 

2004年12月12日 03:20

トスカ 素晴らしき歌手陣!

今回のトスカ、素晴らしいキャスティングでした! 御紹介いたします。
トスカ 木村 珠美   カヴァラドッシ 樋口 達哉   スカルピア 小川 裕二   アンジェロッティ 渡部 成哉   堂守 門倉光太郎   スポレッタ 安藤 英市   シャルローネ 安藤  純   看守 渡部 成哉   羊飼いの少年 田中 栄吉

そして、特筆すべきは合唱団の音楽的クオリティーの高さ! 演出家の意図にもよく答え、オペラにおける合唱の役割を見事に"演じきって"くれました。 Bravi!!

2004年12月 5日 03:20

トスカ公演、満員御礼!

吉田裕史指揮、「トスカ」公演が開催されました。1、2階とも超満席、開演前には、当日券を求めて泣く泣くお帰りになるお客様も。。。 第一部でオペラ・アリア名曲を堪能した後、いよいよトスカ全3幕の開演。力量ある歌手陣にオーケストラの音楽も表情豊かにかみあい、会場全体が劇的なトスカの舞台と化していったようです。
普段よりは、かなり長めの公演、第2幕の休憩時には、携帯を片手に電話をかける奥様?方。「今一番いいところなのよ~、スカルピアが殺されたところでね、云々」。ステージへの熱いカーテンコールまで、皆さんしっかり堪能いただいたようです。
裏方の大勢のスタッフ、表のボランティアの皆さんなど、多くの方に支えられた素晴らしい公演でした。
〈文責・東音〉

(イタリア国内を旅行するときに使うカーナビ用の地図で、ローマとマレンゴの位置関係を調べてみました。オレンジ色でマーキングしてある部分、上がマレンゴで下がローマです。) 

西暦1800年6月13日に、この歴史上名高い "マレンゴの戦い" は起きました。 オーストリア軍の指揮官であったメラス将軍は、ナポレオンがすぐ近くまで進軍してきていることを知っていました。そこで、万全の戦闘体制を敷き迎え撃つのですが、この戦の天才の前に敗れ去ります。歴史上の記録によると、56000人以上のフランス軍と73000人以上のオーストリア軍が激戦を繰り広げたとあります。そして、17時から18時の間には、すでに大勢が決していたようです。 
この戦闘の結果報告が、ローマのファルネーゼ宮殿に報告されるシーンが、トスカ第2幕の練習番号41番からです。 この報告を聞いて、冷徹無比のスカルピアもさすがに動揺しています。 また祖国の自由を得るために自らの人生を捧げていたカヴァラドッシは、この報告を聞いて最高に高揚し、スカルピアが目の前にいるにもかかわらず、"Vittoria!"(勝利!) と叫ぶのです。
あと数日もすれば、ナポレオンの勝利の当然の結果として、スカルピアとアンジェロッティ&カヴァラドッシの政治的立場が逆転していたことを考えると、このオペラの悲劇性、そして悲哀をさらにかきたてます。

さあ、10時間後にはこの最高にドラマティックなオペラの幕が上がります! 皆さん、劇場でお会いしましょう!!

2004年12月 1日 03:19

トスカの舞台5 歴史的背景

(ローマの露天本屋で見つけた、1899年に印刷されたトスカのリブレット。 値段がなんと・・・たったの5リラ! ユーロに変わる直前、100リラが約6円だったので、5リラというと6円の20分の1です。 30銭?)

今日は、トスカのH.P.(Haupt Probeの略で、通常、G.P.前の通し練習のことを言います)が、ありました。 歌手の皆さんの調子も上がってきて、本番で客席を酔わせてくれるのは間違いないと確信しました。そして、音楽の流れと舞台上の演技が合致してきたので、このオペラの持つドラマティックな面が、かなり表出されてきました。 明日はG.P.(General Probe)です。 いよいよオーケストラがピットに入ります!

西暦1800年 6月 これがこのオペラの設定年代であり、舞台はローマです。 ローマに共和政権が誕生したのは1798年のことであり、次の年にエジプトへの遠征に失敗したことが原因で再びオーストリアの勢力に吸収され、近くの都市であるナポリで復権した王国の支配下にありました。オペラ・キャラクター史上3大悪役の一人に数えられるこのオペラの主役の一人スカルピアは、共和派の分子狩りをするためにナポリからローマへ派遣された警視総監(秘密警察に近い!)でした。
次回は、このオペラとナポレオンの関係について書きます。