Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史

吉田裕史:指揮者

東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。

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IMG_9371.JPGさすがは "歌の国" イタリア、この国のオーケストラは本当にカンタービレ(歌うように、、いや、歌いまくる、の方が近いかも。)です。 

 

トリエステのオケもローマのオケも、本当に歌いまくっていてましたが、今回のキエーティのオーケストラも molto cantabile でした。

 

例えば第1幕が始まってすぐ、スコアの練習番号4番で、オペラが始まって初めての "王子の勇気と挑戦のテーマ" (私が勝手に名付けました(笑))が流れますが、この時のオーケストラのメンバー全員の嬉しそうなこと&気合いの入ることといったらありません。 このメロディー "Do-Si-La-SolFaSolLaSi--Mi----" (ド‐シ‐ラ‐ソファソラシ‐‐‐ミ‐‐‐‐‐‐‐) を演奏する時の彼らの何が凄いって、情熱的だとか、音が美しいとか、ヴィヴラートの振幅がまさにメロディーにマッチしているとか、そんな(彼らにとって)当たり前のことではなくて、この最後の長いMiの音の歌い方なのです!

 

 

普通、長い音というのは、最初(音の出だし)に一番気をつけて、音を出したら後は音の長さ(何拍あるか)を数えながら音を伸ばし、さらにできるだけテンションをキープしようとします。

 

 ところが、彼らは:

 

① まず、音が長ければ長いほど、その最後の瞬間まで歌いまくろうと思って、まだその音を出す前からワクワク(ニヤニヤ)している。

 

② いざ音を出す瞬間になると、"皆で揃えて音を出そう" などということは微塵にも考えず、一人一人がただひたすら "いかに美しい音を出すか" ということに命を懸ける。 だから、厳密に言うと完全に揃って始まっているわけではないのに、音を出す前の呼吸はぴったり合っているので、(音楽の流れとしては)全く "ずれて" 聞こえない。 摩訶不思議。 むしろ、みんなのこの0.001秒ずつのズレが、美しく、柔らかく、エレガントなアタック(音の出だし)を生み出しているような気が。。。

 

③ こうして音が出る前の時間をたっぷり楽しんだ後(笑)、音が長ければ長いほど、彼らにとって"お楽しみの至福の瞬間" (音楽家をやっていてよかった!と。)となる。 例えば前述のメロディーの最後の音 "Mi"。  

 

普通は、この "ド‐シ‐ラ‐ソファソラシ‐‐‐ミ‐‐‐‐‐‐‐" の最後のMiを、数(拍数)を数えながら伸ばす。つまりMiを出してから、8ビートで( ♪ を単位として)2-3-4 (音を出した瞬間が1なので、数えるのは2から)と数えることになる。 または、4分音符2つ分を数える。

 

(注:音楽家は、今演奏している音楽に内在するテンポ感によって、最も相応しい単位でビートを感じる訓練がなされているので、音符は2分音符で書かれていても、4分音符二つで感じたり、8分音符四つで感じたり、時には16分音符八つ分で感じる習性があります。) 

 

だから、"ド‐シ‐ラ‐ソファソラシ‐‐‐ミ‐‐‐‐‐‐‐‐" は、"ド‐シ‐ラ‐ソファソラシ‐2‐ミ‐2‐3‐4‐" となりがちなのですが、なんと彼らは拍を数えずに、とにかできるだけ魅力的に歌おうとします。音が長ければ長くなるほど、その長さ分だけたっぷりと、音の後(うしろ)へ行けば行くほどよりカンタービレに歌おうと します。 そこで、どんなふうに聞こえる(演奏しているか)かというと、彼らの心の中では:

 

"ドォシィラァソファソラシィィイミィィィイイイイ"

 

と、歌っているわけです。

 

 

さらには、最後の2分音符のMiの音をあまりにも気持ち良く(のりまくって)歌いすぎてしまって、(メトロノーム的には)長すぎてしまい、"おいおい、それはあまりにも歌いすぎなんじゃないの? 小節線をはみ出してないかい(笑)?" と言いたくなるほどのカンタービレで:

 

"ドォシィラァソファソラシィィイミィィィイイイイィ"

 

なんて楽しそうに、とてもうれしそうに演奏しているわけです。

 

 

そこで、オーケストラとの初めてのリハーサルで何が起こったかというと、推進力あるテンポ感で、情熱的にぐいぐいドライブしていきたい指揮者(私)と、できるだけたっぷり、それも長い音になればなるほど最後の瞬間まで歌い切りたいオーケストラの間でささやかな、、いや、かなりの葛藤が生まれました。 オケのメンバーみんなの顔に書いてありましたから。 "もう少したっぷり歌わせてくれないかなぁ。。" って。

 

では、最終的に、どんな演奏なったかというと・・・ 7日間にもわたるリハーサルの結果、お互いがよく理解し合うようになり(笑)、推進力溢れる情熱的でカンタービレな演奏となりました。

 

次回、共演するオーケストラはどんな個性を持っているのでしょうか。。

 

 

2009年2月26日 02:43

2000!

このブログへの新規来訪者数が2000名を超えました!
その中で、64%の皆さんがリピーターになってくださっています。

 

昨年11月21日にホームページ&ブログをリニューアルしてからの総ページビューはなんと19.767ビューを数えます。
 

前回、1000名達成時には16カ国、169都市からの皆様がこのページを訪れてくれましたが、今回はのべ27カ国、250以上の都市に増えました。(都市数については250以上カウントされないシステムなので、これ以上は伸びません。)

 

改めて国別のランキング(来訪者数)を発表すると:

 

1.日本
2.イタリア
3.韓国
4.エジプト
5.アメリカ
6.香港
7.ドイツ
8.イギリス
9.フランス
10.シンガポール
11.ルーマニア
12.中国
13.ラトヴィア
14.スペイン
15.オーストリア
16.ロシア
17.スロヴァニア
18.オーストラリア
19.ブラジル
20.インドネシア
21.アイルランド
22.スイス
23.ベルギー
24.タイ
25.フィリピン

26.マレーシア

27.サウジアラビア



の順でした。

 

読者の皆さん、本当にありがとう!
Vi ringrazio moltissimo per essere venuti al sito mio!

キエーティでの「トゥーランドット」が、イタリアのテレビ局により特別番組として放映され、その一部がYouTubeにもアップされています。

 

2009年2月18日 12:24

春の公演スケジュール

オフィシャルWEBサイト "スケジュール" に、3月から4月にかけての公演情報をアップしました。

たった今、「トゥーランドット」の最終公演を終え、滞在先に戻ってきたところです。 演奏中の聴衆の盛り上がりの凄かったこと! みなさんが楽しんでくれているのが伝わってきて、最高にうれしかったです。 有名なアリア「誰も寝てはならぬ」は、連日Bis (アンコール) がかかりました。

 

Turandot Certain Call.JPG

 

 

「イタリアの歌劇場でプッチーニを指揮する!」

 

夢がひとつかなった、今回のキエーティでの公演でした。。

 

ローマに戻ったら、公演の様子を少しずつアップしていきたいと思います。

Chieti 芸術監督室にて.JPG2週間に渡る (休みは一日もなし!) 集中的なリハーサルの後、今日からいよいよ学校鑑賞公演→ 公開ゲネプロ→ 本公演 (3回) と、実質5回の本番が続きます。

 

写真は、"出番を待つ楽屋にて" 撮影したものです。 このオペラはとにかくたくさんの歌手が出演するので、通常、指揮者の楽屋として用いられる舞台に最も近い部屋はトゥーランドット姫の楽屋となり、代わりに私には、なんとこの歌劇場の芸術監督室が割り当てられました。大変光栄なことです!

 

この街でトゥーランドットが上演されるのは本当に久しぶりとのこと、街は大変な盛り上がりをみせています。街を歩いていると、市民の皆さんがごく自然に、"Maestro、期待してますよ!"と声をかけてくれます。 チケットは、一週間以上も前にすでに完売だそうです。

 

さて、今日の学校鑑賞公演ですが、キエーティ市中の小学生(高学年)から中学生までがやってきました。 イタリア国内ですから、当然のことながら字幕なしでの上演なのですが、、、 演奏が進むにつれて、"字幕がなくても歌詞がすべて理解できるのかな?" とか、"クラッシックやオペラを退屈に感じる子供たちはいないのかなぁ。。" などという心配は全くふっとんでしまいました。 各アリアが終わるたびに沸き起こる拍手の凄いこと! さすがイタリア人の子供たち、ノセ方も自分たちのノリ方(楽しみ方)も、とても良く心得ています。

 

一番驚いたのは、3幕で姫と王子がついにキスをするシーンでの子供たちの反応でした。 まず基本的に、この子たちにとってキス・シーンというのは、それほど特別な光景ではないはずです(イタリアなので)。 それにも拘わらず、王子が姫にキスをした瞬間、劇場中が異様な盛り上がりを見せ、子供たちからの拍手大喝采で、次のトゥーランドット姫のセリフ "今まで一度も負けたことはなかったのに・・・" の音楽に入るのを待たなければなりませんでした。

 

そして、その盛り上がりの間(1分近く続いたでしょうか)客席から聞こえてきた言葉が、面白かったこと!

 

"ついにやったぜ、王子!Bravo!!"

"この気の強い姫様、やっとわかったのか!  愛の力を!!" 

"いや、まだわかってないよ。 このお姉ちゃん。。" (笑)

etc... 

 

世界中、子供たちの純粋さだけは変わりませんね。 こんな公演の指揮を執ることができて、とてもうれしく思いました。

 

明日はいよいよ公開ゲネプロです。

 

2009年2月10日 23:59

トゥーランドット 舞台美術

Bozzettoblufondocielo.jpg

今回の「トゥーランドット」は、ローマ歌劇場との共同制作によって上演されます。 舞台美術は、ローマ歌劇場舞台美術チーフ、Andrea Miglio 氏によるものです。

2009年2月 3日 07:22

トゥーランドット

キエーティ、マッルチーノ歌劇場で、「トゥーランドット」のリハーサルに明け暮れる毎日です。
やっぱりプッチーニは最高です!

 

公演の詳細は こちら をご覧ください。