Hirofumi Yoshida - 吉田裕史

吉田裕史

吉田裕史:指揮者

東京音楽大学指揮科及び同研究科修了。ドイツ・イタリアで研鑽を積み、2007年ローマ歌劇場カラカラ浴場野外公演を指揮、2010年1月よりマントヴァ歌劇場音楽監督に就任。

Calender

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

New Entry

Archives

Category

Links

Links2


トッレ・デル・ラーゴ プッチーニフェスティヴァルにおける「トゥーランドット」プレミエは、無事、成功裏に終えることができました。


公演初日ということもあり、客席には、このオペラの作曲者 ジャコモ・プッチーニ の直孫シモネッタ・プッチーニ さんがお見えになっていました。 公演終了直後に、彼女があるイタリアの新聞記者に語った言葉が記事として伝えられてきていますのでご紹介させていただきます。 (記事全文は日本語訳とともに後日掲載予定)

 

"I miei complimenti. E'stato veramente bravo. Sono rimasta ammirata della sua interpretazione"

 

(私からの賛辞を。 彼は、本当に素晴らしかった。 私は、彼の演奏解釈に感嘆してしまいました。)

 

 


con Maestro Scaparro.JPG今日は最後の総練習(ゲネプロ)でした。

 

写真は1幕が終わった後、演出家のマエストロ・スカパッロさんと一緒のショットです。指揮台に近づいてきてくれて、"マエストロ、素晴らしい音楽をありがとう。"との言葉をかけてくださいました。

 

 

数日前からの天気予報では、、今日は豪雨。 キャスト、合唱、オーケストラ、関係者全員が晴れるようにと祈りながら、今日の朝を迎えたのでした。 でも、結果は残念ながら一日中 "ゲリラ豪雨"。支配人や芸術監督と相談の上、 急遽、室内での総練習に変更となりました。 結果的に、音楽に集中してリハーサルを行うことができたので、指揮者である私にとっては、非常に有益なゲネプロとなりました。

 

 

Prova generale.jpg 

 

 

38800_419142247508_714737508_4532981_503718_n.jpg

2010年7月26日 09:13

氷のような姫君


Martina Serafin.jpg(写真)ある日のリハーサルで、トゥーランドット姫役のMartina Serafinと3幕の最後の部分について打ち合わせをしているところ。

 

この日の会話:

 

私: この最後の "私は彼の名前を知っているわ、、その名は Amore(愛)" の部分だけれど、今のテンポで良かった?

 

マルティナ: ばっちりだったわ。私はこの部分を遅くし過ぎずに、音楽の流れの中で自然に声を運びたいの。 今のように停滞しないほうが好ましいわ。

 

私: そうだよね。むしろ、その次の小節のオーケストラのグランデ・クレッシェンド(イタリアでは、度々この言葉を用いる)に声を乗せて、たっぷり歌いきった方が素敵だ。 ところで、来年3月に、フィレンツェ歌劇場日本公演で「トスカ」を歌うんだって?

 

マ: それが、とても残念なことに行けなくなってしまったの。 実は、、私、今、妊娠3カ月なのよ。

 

私: えっ!??、、、(驚)

 

マ: でも、まったく心配しないで。 このプロダクション(トゥーランドット)までは、完璧にこなしてみせるわ。 この役は、今の私に最も相応しいとさえ思っているの。 舞台上での激しい動きはないけれど、すべてのドラマを歌で、声で、音楽で表現してみせる、、まったく問題ないわ。 あー、それにしても日本に行けないことは、本当に残念だわ。 マエストロの国は美しくて、聴衆の質も高くて、すべてがきちんとしていて、、(以下、日本賛歌が続く)

 

マルティナ・セラフィン、なんというプロフェッショナル! 舞台上の彼女にはいっさいのエクスキューズも甘えもありません。

 

オペラのリハーサル現場は、、毎日、とても劇的です。


Donata-Lombardi-001L.jpg写真は「トゥーランドット」でリュー役を歌うDonata D'Annunzio Lombardiです。その声はとても美しく、柔らかくピュアなので、一途さと可憐さが要求されるこの役に見事にはまっています。もっとも、一番多くキャスティングされるのは「ラ・ボエーム」のムゼッタ役で、今までに150回以上も舞台に立っているそうです。

 

そんな彼女との、今日のリハーサル中の会話:

 

(3幕のリューのアリアについて音楽的な打ち合わせをした後で)

 

私: ところで、明日の演出リハーサルでは1幕のアリアをもう一回やりたいね。

 

ドナータ: 明日は、私、「蝶々夫人」の本番だわ。

 

私: ??!!  今回、「蝶々夫人」も歌うの?? でも、率直なところ、蝶々さんの役は、君の声に合っていないと思うけど。

 

ド: (よく質問してくれましたとばかり、少しニヤッとして)そこがこの役の興味深いところだと思うの。 実はプッチーニはこの役を本来はソプラノ・リリコに設定しているわ。決してスピントではないの。

 

私: それは確かにそうだけど、、実際にはスピントやドランマティコといった声が求められるよ。特に3幕では、音楽的に間違いなくドラマティックな表現が必要だ。

 

ド: もちろん! その通りだわ。  でも、1幕の彼女の年齢設定は15歳で、、言ってみればまだ "少女" なの。まだ決して "女" ではないわ。 2幕の途中、シャープレスが訪ねてくるシーンでも、もう子供を授かった後にもかかわらず、まだそうした幼さや純粋無垢なニュアンスが残っているわ。

 

私: そうだね。 そして3幕では、母親としての自覚と覚悟が描かれ、明らかに本当の "女" に変わる。そういった観点からすると「蝶々夫人」は、ある意味、女性の変容(メタモルフォーゼン)劇と言えるかもしれないな。

 

ド: そして、3幕の最後には、母性の持つ本能として、いかにして子供を守るかということを考える次元にまで成長するのよ。歌い手にとってこれほど難しく、でもやりがいのあるオペラはないわ。 リリコ的な要素を求められる1幕から本物のスピントが要求される3幕に至るまで、その内面の成長に伴った声が必要だわ! (以下、延々と続く、、、)

 

ドナータ・ダンヌンツィオ・ロンバルディ、本当に魅力的なディーヴァです。

 

 

2010年7月22日 23:56

読売新聞 7月22日付朝刊


本日付の読売新聞(文化欄)に「プッチーニを繊細に」との見出しで、吉田裕史のトッレ・デル・ラーゴ、プッチーニフェスティヴァルでのデビューについての記事が掲載されています。


モーストリークラシック8月号(7月20日発売)"STAGE"のコーナーに、全ページにわたりインタビューが掲載されました。


また、同誌オフィシャルWEBサイトには、今月の"Recommended Artist"として紹介されています。


モーストリークラシック(記事全文)

2010年7月18日 09:15

オペラのリハーサル

Turandot piano prova 15082010.JPG

これはある一日(7月15日)のトゥーランドットのためだけのリハーサル・スケジュールです。

 

指揮者によるリハーサルはProva musicale(音楽稽古)と呼ばれますが、この日は11時から14時までの3時間でした。 そして1時間半の昼食休憩(イタリアでは日本より少しばかりランチタイムが遅めです)を挟み、15:30から19:30までの4時間がProva regia(演出稽古)で、この日はAtto1(一幕)のみをとても丁寧にリハーサルしました。

 

ほぼ毎日、約一ヶ月間に渡って、こうしてオペラのリハーサルは進んでいきます。 素晴らしい声と音楽を持った歌手たちとのリハーサルは、とても実り多きものです。また、休憩時間に彼らと雑談すると、とても興味深い経験談を聞けます。 例えば、今日はカラフ役のテノール歌手イアンさんと話しましたが:

 

イアン: 「最近、トリスタンとイゾルデを、6 "プロダクション" に出演してるんだ。」

 

私: 「?!!  6 "公演" じゃないの?」

 

イアン: 「いや、それぞれ異なる 6 "プロダクション" だよ。 公演数は、全部で30くらいかな。ベルリン(国立歌劇場)とスカラでダニエル(バレンボイムのこと)と、ジェノヴァでジェルメッティと、チューリッヒでメッツマッヒャーと、えーと、それから今ちょうどデュッセルドルフで歌っているんだけど、、マエストロ、申し訳ないけれど明日から3日間だけここを離れて(デュッセルドルフで)歌ってきます!」

 

私: 「(驚き) わかった。 でも、トリスタンからトゥーランドットに頭を切り替えるのが、大変だね。 しかも、トリスタンはテノールにとってかなり "重い" 曲だよね?」

 

イアン: 「いや、トリスタンは僕にとって本当にはまり役なんだ。 あの曲ならいくらでも歌えるし、頻繁に歌っているほうがかえって声の調子を保てるんだ。 よく2幕を20分くらいカットして演奏する指揮者や演出家がいるけど、僕は反対だな。 全部、歌わせて欲しいよ、、トゥーランドットの3幕もカットなしで全く問題ないから! ところで、この前ロンドンでエレクトラをゲルギエフとやったんだけど、、、(以下、延々と続く)」

 

Ian Storey、最高に素晴らしい声を持ったテノールです!

 

2010年7月11日 23:48

「西部の娘」 ミニー

   

Dessi Camerino.JPG昨日は記者会見、そして、今日はオーケストラとの2回目のリハーサルでした。まず3幕から始め、1幕、そして最後にバンダ(舞台の裏などで演奏されるオーケストラの別働舞台。小編成のことが多い。)が加わり、かなり丁寧に2幕を練習しました。本番中にバンダを舞台裏で指揮してくれるのは、アシスタント・コンダクターのシルヴィアさん(若手女性指揮者)です。

 それにしても、慣れてきたとはいえ、イタリアのオーケストラを前にして、(イタリアオペラを) 全部歌いながらリハーサルしていくのは、、いまだにかなりの勇気が要ります(笑)

 

今年のプッチーニフェスティヴァルでは、「西部の娘」 「蝶々夫人」 「トスカ」、そして「トゥーランドット」の4演目が上演されるのですが、当然のことながら、それぞれの初日を迎えるまではこの4演目を同時進行でリハーサルしていくことになります。 1つの劇場で、4演目を同時に練習していくためには、相当複雑、かつ緻密に計算されたリハーサルスケジュールを組むことが要求されますが、、 受け取った予定表を見ると、まるでパズルのように見事に出来ています。そのスキルとノウハウには、いつも感嘆するばかりです。

 

写真: 4つの演目を同時進行ということで、一つの楽屋を数人の出演者が共有していますが、 私の楽屋は、「蝶々夫人」のタイトルロールを歌うアマリッリ・ニッツァと 「西部の娘」でミニーを歌うダニエラ・デッシーと一緒です。 みんな、けっこう自分の私物を置きっぱなしにしていくので(笑)、服などがかけっぱなしになっていたり、机の上に資料などが置きっぱなしになっていたりします。 これはミニー役の衣装スケッチ。 (スケッチの左上に、Daniela Dessiと書かれている) オペラの舞台美術や衣装のスケッチというのは、、それ自体が芸術作品と言っても過言ではありません。

Turandotも、最高に美しい舞台です! お楽しみに。


FestivalPucciniano007.jpgいよいよ、トッレ・デル・ラーゴで「トゥーランドット」の練習が始まりました。

 

 

初日の今日は、まずオーケストラとのリハーサル。

 

1幕と2幕を練習しましたが、、さすがプッチーニ・フェスティヴァル・オーケストラ! 最初の音から最後の音が消える瞬間まで、とてもドラマティックに、そして色彩感豊かに演奏してくれます。

 

 

これからが本当に楽しみです!

同 第三幕



2010年5月27日、ラトビア国立歌劇場における「蝶々夫人」より第二幕


 

 

Arena di Verona 01072010.JPGみなさん、いかがお過ごしですか? ついに7月に入り、今年も半分が過ぎました。 私は、今月31日のトッレ・デル・ラーゴでのデビューへ向けて「トゥーランドット」に没頭する日々を送っています。

 

今日は、このオペラを研究するために久しぶりにヴェローナへ。 今年のテーマはずばり "フランコ・ゼッフィレッリ"。 今夏上演されるすべての演目がこの偉大な演出家の作品となっています。

 

このオペラを客席から観ることによって全体を"俯瞰"することができました。 作品全体がドラマとしてどのように描写されるべきなのか、また、全体における各幕の性格的位置付け、そして各シーンのコントラストや"色"など、、指揮者として突き詰めていくべき点がたくさんあります。 音楽的にだけでなく、演劇的側面や舞踊的要素からのアプローチ、また文学的、詩的、哲学的、歴史的 ecc... など、興味は尽きることがありません。 オペラが、、総合芸術と言われる所以です。

 

今夏、7月31日と8月6日に、オペラ「トゥーランドット」を指揮して、トスカーナ州トッレ・デル・ラーゴにて開催されるプッチーニフェスティヴァルへのデビューが決定いたしました。 

 

 第56回 プッチーニフェスティヴァル


Festival Pucciniano.jpgプッチーニを愛する皆様、今年の夏はトッレ・デル・ラーゴで、その魅惑的な音楽に酔いしれてみませんか? 7月31日と8月6日にいらっしゃる皆様、現地でお会いできることを楽しみにしています(吉田)。